帰化申請の受件から申請までの一般的なスケジュールについて解説します。
◎ 直接、依頼者に会い、「帰化の動機」及び家族状況、出生状況、学歴、職歴、住所歴、婚姻歴等を聞く。(依頼者に、経歴等は事前に箇条書きしておいてもらうと、相談しやすい。)
◎ 依頼者には、良いことも悪いこともすべて包み隠さず、話してもらう。(特に、行政書士の聞き取り調査が重要である。)
◎ 帰化の条件に適合するかどうか、判断する。
◎ 管轄の法務局(国籍課または戸籍課)に予約をとり、依頼者と共に事前相談に行く。(東京、神奈川の場合は、来所順に受け付けているので、予約は必要ない。)
◎ その際、依頼者の家系図を作成し、職業、住所、生年月日等を記入していくと相談しやすい。(戸籍謄本など既に取り寄せてある書類があれば、持参するとよい。)
◎ 必要書類は、出来れば、行政書士側にて全て入手した方が間違いがなく、早く入手できる。(依頼者にも負担がかからない。)
◎ 外国の戸籍謄本は、入手まで2~3週間かかるので、最初に手配する。(韓国の場合、2週間内外かかる。在日本大韓民国民団にて戸籍謄本の代行申請及び翻訳を依頼することもできる。有料。)
◎ 翻訳は、①行政書士が自ら ②他の行政書士に依頼 ③民団等に依頼 ④翻訳会社に依頼 の順にて行っている場合が多い。
◎ 外国人登録原票記載事項証明書は、前述の通り、一定の事項が記載されているものが必要なので、早めに手配する。
◎ その他、国内で入手する書類は、郵送でも入手できるので、早めに手配する。
(戸籍謄本、住民票、出生届の記載事項証明書、婚姻届の記載事項証明書、離婚届の記載事項証明書、法人の登記簿謄本、不動産の登記簿謄本、納税証明書等。)
◎ 唯一、本人が直筆で書くものなので、内容は早めに考えておいてもらう。(内容は、行政書士が打ち合わせて、チェックしたほうがよい。)
◎ 唯一、法務大臣が直接、目を通す書類なので、誠意を込めて、丁寧に誤字脱字がないように記述してもらう。
◎ 依頼者に帰化後の氏名および本籍地をどうするか、決定してもらう。
◎ 法務大臣が帰化許可を決定した後に、それらの変更をすることは、原則として認められないため、選定は慎重にする。(申請後、法務局の所要の調査完了後、法務省に進達される前であれば、予定した帰化後の本籍または氏名を変更することは比較的容易である。)
◎ 次の書面は、作成後に漏れや間違いがないかどうか、依頼者側にチェックしてもらうと確実である。(親族の概要を記載した書面、履歴書、生計の概要を記載した書面、事業の概要を記載した書面)
◎ 事実関係を隠さず、ありのまま記載すること。事実を隠したすると、審査に影響を及ぼすことがある。
◎ 書類が準備できたら、依頼者と共に管轄の法務局に提出する。
◎ 書類は2部、作成する。(一部は写しでよい。書類は綴じないで、順番に揃えて持って行く。)
◎ 行政書士が同行、立会いも可能です。
◎ 不足書類がある場合、管轄の法務局担当官より連絡があるので、迅速に追加提出する。(追加提出は、郵送でもよい。)
◎ 千葉県の場合、申請後、約1年後に面接調査の連絡が依頼者側に入る。(神奈川県の場合は、2ヵ月後に面接調査有り。)
◎ 申請者が既婚者の場合、本人及び配偶者が呼ばれるが、子供がいる場合、一緒に行ってもよい。面接は夫婦の場合、別々に行われる。
◎ 面接調査の内容は、個々のケースにて違いはあると思われるが、一般的には書類の内容についての補足質問、現在の家族状況、生活状況、申請の理由等が質問される。
◎ 面接調査には、行政書士も同席できる。
◎ 申請後に、住所や職業に変更が生じた場合は、管轄法務局に変更を証する書面を添付して、速やかに届け出る。
◎ 車のスピード違反、駐車違反、事故、刑罰等の事実が生じたときは、速やかに報告する。
◎ 申請が許可された場合、その旨、官報に告示される。この告示の日から効力を生ずる。(管轄法務局から本人に対しても通知される。)
◎ 不許可の場合、管轄法務局からその旨の通知がされる。(千葉県、東京都では申請から許可・不許可の通知まで約1年半かかる。神奈川県の場合、9ヶ月で通知されたケースがある。いずれにしても、個々のケースにより違いもある。)
◎ 居住地の市区町村長への「帰化届書」及び「外国人登録証明書の返還」の手続きのアドバイスをする。
◎ 帰化が許可された時は、その旨が官報に告示され、その告示の日から効力を生ずる。
◎ 管轄法務局より、許可の通知を受けた申請者は、指定された日に当該法務局長から「帰化者の身分証明書」の交付を受ける。交付を受けたときは、同身分証明書の内容(自分の本籍地、帰化後の氏名等)について間違いがないかどうか確認する。
◎ 市区町村長に対して、「帰化者の身分証明書」を添付して、帰化の届出をし、外国人登録証の返還手続きをする。
◎ 帰化が許可されなかった場合は、当該法務局長からその旨の通知がなされる。
◎ ある一定の期間を置いて、不許可事由が除去され、再び帰化条件を具備したと認められるようになれば、再度、帰化の申請をすることができる。
◎ 「不許可通知書」には、その理由が必ず記載されているので、それをよく理解して、不許可事由をなくして、再申請することができる。
◎ 不明な点があれば、担当官の指導を受ける。
◎ 帰化後の氏名は原則として自由に定めることができる。
◎ 新たに称する氏名については、常用平易な文字(戸籍法第50条、戸籍法施行規則第60条)を用いることとされている。
これには、国語審議会の当用漢字を参考にしたり、内閣告示の人名用漢字別表を参考にするとよい。
◎ 帰化前の氏名が前記制限外の文字であって、帰化後もその氏名をそのまま使用することを希望する場合、これを使用することに特別の事情があれば、認められることもあるので、担当官と相談する。
◎ 帰化後の本籍地の設定は、原則として自由である。但し、行政区画の定められていない場所には、本籍地を定めることができないので役所に確認する。
◎ 帰化後の戸籍には、「帰化事項」が記載される。この帰化事項は当初の戸籍のみに記載され、転籍の届出をして本籍地を変更した場合、この帰化事項は記載されない。
① 届出人
帰化した本人が市区町村役場に「帰化届書」を提出する。15歳未満の未成年者であるときは、法定代理人からしなければならない。
② 届出期間
官報告示の日から1ヶ月以内にすべきものとされている。但し、戸籍の実務上からは当該法務局長から「帰化者の身分証明書」の交付を受けた日から1ヶ月以内に届出すればよい。
③ 届出先
帰化者の所在地の市区町村役場に提出する。但し、本籍地に直接届出をすることもできる。
④ 添付書類
当該法務局長から交付を受けた「帰化者の身分証明書」を添付する。
⑤ 帰化の届書の記載について
① 外国人登録原票記載事項証明書は、「外国人登録原票記載事項証明書返納届」と共に居住地の市区町村役場の外国人登録係に返還する。
② 必ずしも本人が出頭しなくとも、郵送によって返還することができる。
◎ 運転免許証、保険証、不動産及び商業登記簿等、氏名変更する必要があるものは、早めに手続きしておく。
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